「けど1ヶ月程前、あの日から噂にすら聞かなかった桐谷が動き出した。桃華としてじゃなく"風華"として、新しい族を作ったんだ」
1ヶ月前は、あたしが霜華に来て少し経ったぐらい。
つまり、それって…。
ごくりと唾を飲み込む。
「定かでは無いけど、柚姫の話からするに、桐谷は柚姫のことを愛していた。だからこそ、俺たちから取り返そうとしている」
風華が霜華を狙う理由。
蓮があたしを探す理由。
あたしのせいで、あたしがあの時、蓮を1人にしたせいで……。
「蓮があたしを探すためにつくった族だとしたら、あたしに責任がある。……蓮はあたしが止める。……だけどお願い、協力して欲しい」
蓮とあたしはどこか似ている。
蓮が抱えているものを、あたしなら分かってあげられる。
蓮の孤独な心を救いたい。
それが出来るのは、あたしだけだから……。
*
翌日の放課後、あたしは空き教室に向かった。
流牙くんが作ってくれた時間。
唯花と話すための時間。
空き教室のドアを開けると、既にいた唯花と目が合った。
あたしを見るなり、驚きを隠さないで、目を見開き固まる彼女。
「何で、先に倉庫行ってるって……」
「唯花と話がしたくて……」
微かに震える声。
だけど、大丈夫。
怖いものなんてない。あたしは誤解を解きに来たんだ。

