その日を境に、優牙くんとは不思議なほど会うことが増えた。
そして、行く場所がない時は、彼の部屋に泊まることも。
優牙くんは、あたしの事を何も聞かないし、あたしのことを肯定的に受け止めてくれる。
たまに差し伸べられる彼の手は、温かくてあたしの中に溶けて行った。そのせいで、彼の優しさに触れる度、何度も心を許してしまいそうになった。
「あのね、優牙くん。あたし…」
何度も伝えようと思った。
だけど、
"助けて"
その言葉を口にしようとする度、あたしの心は苦しくなる。
もしも本当に、裏切らなかったら…?
あたしの味方になってくれるとしたら?
二度と男に心は許さないと誓った。
あたしが心を許せる存在は…信用できる人は、ママだけ。
もしも優牙くんが、あたしを裏切らなかったら、その時あたしはきっとママのことを信用出来なくなる。
帰ってこないママよりも、裏切らない優牙くんを選ぶ。
あたしは、何があってもママを裏切るわけにはいかないから。