「ふぅ…さっぱりした」
ほぼ、ホームレスのようなあたしは当然着替えは持ってないし、あの流れでけいちゃんから借りることもなかった。
バスタオル姿でリビングに戻ると、あたしの姿を鋭い目つきで睨む。
「お前に羞恥心ってもんはねぇのかよ」
…ないよ。
そんなものとっくに捨てた。
男に裸見られるなんて慣れっこだし。
「だってけいちゃんだしさ〜別に良くない?そーだ!昔さ、一緒にお風呂入ったことあったよね?また入っちゃう?」
トーンを上げ、歩く振る舞う。
けいちゃんの前でも、本当のあたしは必要ない。
あたしは男の前にいる以上、完璧なあたしを演じると決めた。
決して、仮面の下は見せないように─────。
「いつの話してんだよ。つーか、ほんと、信じらんねぇ。これでも来てろ」
パサッと被せられた黒のパーカーと、ジャージのズボン。
「てんきゅー」
お礼を言い、ぎゅーと抱きしめると、柔軟剤の優しい香りがした。
「あと、髪の毛乾か…」
言葉に詰まるけいちゃん。
「ん?」
不思議に思い、彼の視線の先を追うとガッツリあたしの胸元のあたりを見ている。

