「いってぇな…」
僅かに赤く染った右頬を抑えると、低く冷たい声を発する。
なんであたし、この男に負けたの…?
なんで唯花は、あたしよりこの男を選んだの…?
こんな男に……。
パタンと、身体中の力が抜け、道路に座り込む。
「…唯花と別れて」
もう、放っておけばいいのに。
あたしの事を信用しなかった、この男を選んだ唯花なんて、傷つけばいいんだ。
どうなろうがあたしには関係ない。
その思っているはずなのに…。
あたしは、それでも唯花を守りたいと思っている。
「だーかーら、柚姫ちゃんが「付き合うから」」
あたしがこの男と付き合えば、唯花は傷つかない。
あたしが耐えればいいだけの話でしょ?
簡単だよ…。
あたしは既に穢れている。
誰よりも汚い。
今更何をされようが、どおってことない。
「ふーん」
目の前にいる男もしゃがみこみ、あたしと目線を合わせる。
「それで?」
…え?
「付き合って欲しい時は、なんて言うのかな〜?」
にっこり優しく微笑む。
だけど、それは偽物の笑みだって知っている。
「なんであたしが…」
「柚姫ちゃん"が"俺と付き合いたいんだよね?じゃあ、ちゃんと言いなよ。ね?」
……屈辱だった。
大っ嫌いな男にあたしからする愛のない告白。
誰とも付き合うつもりなんてなかったのに。
「あたしと、付き合って…────」

