「柚姫…ちょっといいかな?」
ある日の放課後、唯花に呼ばれ
「なぁに?」
といつも通りのあたしで接する。
「ずっと、言おうと思ってたんだけど…。最近の柚姫なんか変だよ!何かあったなら言って…?私たち、親友でしょ?」
「何も無いよ」
口角を上げてにっこり微笑む。
「唯花がそんなこと言うなんて、どうしたの?変なの〜」
…ごめんね、唯花。
心の中ではどこか申し訳なさがあった。
だけど、あたしは、自分を守るためにたとえ親友の前であろうと仮面を被り嘘をつく。
本当のあたしなんて誰も知らなくていい。
「ただいま」
家に帰ると、仮面を外すように笑顔から無表情に、声のトーンも下げる。
多分、この時のあたしは既に狂っていた思う。
「柚姫ちゃんは何度見ても綺麗だね」
「徹さん…っダメ…っ!」
「声出さないで、バレちゃう」
あたしは、外で猫をかぶることにストレスを感じていた。
やり場のない思いを抱えている時、目の前にいるこの男にあの日と同じように犯された。
それがどこか心地よかったんだ。
気がつけば、あたしにとってこの男に犯されることは、自傷行為みたいなものになっていた。
学校でのストレスを、自分の身体を傷つけることで解消する。
そうやって、学校では完璧なあたしを演じられるようにしていた。
それに、この時になれば、何度この男と体を重ねたか分からない。
重ねる度に、気持ち悪さとか痛みとか、そんなの気にならなくなった。
この男にとっては愛があるのかもしれない。だけど、あたしにとっては、愛なんてない。
ただ、自分を傷つけるための手段の一つに過ぎなかった。

