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「梓姫(あずき)、本当にいいのか?」
「ええ柚姫を守るためだもの」
翌夕、あたしたちはママのお兄さんの家にお邪魔した。
キラキラの目。
深い紅色の唇。
ほんのりピンクの頬。
緩く巻いたミルクティー色の髪。
顔にできたアザもお化粧で綺麗に隠されている。
「ママ…?」
いつもと雰囲気の違うママに少し戸惑った。
「これはね、ママの大切なものなの。朝には迎えに来るから、それまで大切に持っていてくれる?」
こくりと頷くと、ママは1冊の手帳をあたしに渡した。
キャラメル色の鍵のついたそれは、いつも大切そうにママがドレッサーの引き出しにしまっていたもの。
「…愛してるわ」
そう言うと、あたしの額に軽くキスをして、あたしに背を向けた。
「あたしもよ、ママ………」
誰よりもずっと、ママを愛してる。
「………絶対、迎えに来てね」
呟いた言葉は、誰にも拾われることなく静かに消えた。
その日、
あたしとママが過ごす最後の日となった。

