薄い長袖の足首まであるワンピース。
丁寧に化粧をすることで、顔の痣が隠れる。
そして、長い髪を下ろすことで、首元の痣も。
翌夕、
あたしは、決心が変わらないうちに、優牙くんに連れられて霜華の倉庫に足を運んだ。
久しぶりの倉庫は、どこか懐かしく感じられた。
……なんて、あたしらしくもない感想を抱いてみる。
言葉と本心はいつも一緒じゃない。
裏腹で、何が本当かなんてその人にしか分からない。
"目に視えるものだけが全てじゃない"
だからこそ、本当の気持ちを言葉にしないと、何も伝わらない。
……逃げない。
女は…あたしは……、
いつだって強いんだ。
あたしの姿を見ると一瞬でざわつく倉庫内。
優牙くんに向けられる尊敬の目と挨拶。
幹部室のドアの前で一度立ち止まる。
「…大丈夫?」
心配そうにあたしの顔を覗き込む彼の顔。
「今のあたしなら大丈夫」
にっこり微笑んで、
そっと、ドアノブに手をかけた。
ゆっくりと開く扉。
中にいた人の全員の視線があたしに集まる。
「柚姫ちゃん……」
あたしを見て、目を丸くする人たち。
「ゆったん…」
瞳をうるうるさせて、あたしを見つめる魅斗くん。
どうしようもない気持ちが、込み上げてくる。
この気持ちの正体を、名前を、あたしは知らない。
だけど、温かくて優しい気持ちだった。
『みんな柚姫の味方だよ』