「…痛くない?」


流牙くんはドラッグストアに行っていたのか、ビニール袋にはたくさんの箱に入った塗り薬や湿布などが入ってきた。


優牙くんがそれらで丁寧に手当してくれる。



「……平気」



ここに来てから、不思議と痛みがなくなった気がする。



「柚姫…」


あたしの名前を呼ぶ、流牙くんの声。



「風華は……蓮は関係ないよ」


多分、あたしのこのケガを風華だと思っていると感じた。


あたしのこと、狙ってるみたいな言い方していたし…。


だけどね、それは違うよ。





「この痣をつけたの、父親……なんだ」


ぼそっと呟いた低い声。


"父親"


本当は、この言葉さえも口にしたくない。あたしはあの男のことをそんなふうに思ったことは無いし、赤の他人でありたかった。





「みんなには全部話す……。あたしの事も、ママのことも………蓮のことも」