「流牙、悪いけどタオルとって」
リビングの方に向かって叫ぶ優牙くん。
部屋に入ると、奥から光が漏れていたから誰かいることは察していた。
だけど、よりにもよって流牙くんだなんて……。
運がいいのか悪いのか。
「そんなに雨降っ……」
目の前に現れた流牙くんは、あたしの姿を見て、目を見開き言葉を失う。
お願いだから何か言ってよ……。
無言なのが、一番怖い。
視線を斜め下に逸らすと、たたんだ濡れた傘を扉に立てかける優牙くんの手が視界に入った。
違うとわかっていても、男の人の手というものに変わりはなく、視界に入らないようにぎゅっと目をつぶる。
「風呂は?」
「あ、えっと…今、入れてる……」
そんな動揺して喋らないでよ。
余計、惨めになる。
「柚姫、お風呂入っておいで」
優しくかけられた言葉。
「うん」と、短く返事をして脱衣場に向かった。

