ピンポーン
エントランスで、優牙くんの部屋番号を入力し、呼び出しのインターフォンを鳴らす。
いつもなら直ぐに応答があるけれど、今日は反応が無い。
…やっぱり、寝てるよね。
僅かに差し込んだ希望も簡単に消える。仕方なく、その場を離れると公園のベンチに腰掛けた。
ここから倉庫まで歩いて20分程度。だけど、倉庫に誰かいるとも限らないし、何より今は顔を合わせにくい。
「行く場所……なくなっちゃった」
フッとこぼれる乾いた笑い声。
容赦なく降り続ける冷たい雨。
肌に密着するワンピース。
じっとり濡れた、ミルクティー色の髪。
何をしても上手くいかなくて。
最後はいつも独りぼっち。
それが、
あたしには、お似合いなのかもしれない……。
「……大丈夫?」
突然聞こえた心配そうな声に反射的に顔を上げる。
雨で濡れた髪の毛が顔に張り付いているせいか、暗く雨のせいか、横に立つ人の顔を見ることは出来ない。
だけどあたしは、知っている。
いつも、あたしの事を助けてくれる人。
助けて欲しい時に、その手を差し伸べてくれる人。
「優牙、くん……」
「…え?ゆず、き……?」
あたしを見る彼は、驚きのあまりか言葉に詰まる。
だけど、あたしの心は一瞬で安心感に包まれたんだ。

