「よぉ、ちゃんと生きてるか」
決まって夜に開けられるドア。
男は毎日、なんの戸惑いもなく、あたしに暴力を振るい続ける。
…これが男の本性。
優しさなんてない。
仮面を外せば簡単に豹変し、あたし"たち"を傷つける。
だけど、どれだけ傷つけられても、あたしの感情を壊(ころ)せるのは、この男じゃない。
ママとこの男も、あの時はお互いに離れようとしなかった。
それは、依存(アイ)していたから。
だけど、あたしはこの男にそのような感情を1ミリ足りとも抱かない。
この男は、あたしから大切な人を奪って、あたしの人生をめちゃくちゃにした。
あたしは絶対に、この男を許さない。
どれだけ恨んでも恨みきれないの。
ママの無念、この男の命で晴らすしかない……。
あたしはママに似たこの容姿(ブキ)を利用して、この男のアイした女に演(な)る。
『女はいつだって強い』
それがママの教えであり、その言葉をずっと胸に抱きながら生きてきた。
あたしはあの時とは違う。
何も出来なかった、弱い頃のあたしじゃない。

