「…は?自分が何言っているか分かってる?」
「霜華は柚姫ちゃんにとっても、もう大切な場所じゃ……」
「そんなこと言う人だと思わなかった……」
あたしの豹変っぷりに動揺を隠せないのか、声まで震えていた。
簡単に人を信じて、自分が視ていることしか信じない。
だからこそ、
"そういう人だと思わなかった"
そんな言葉が出てくるんだよ。
…あたし、この言葉大っ嫌い。
「何か勘違いしてない?別にあたし、ここが壊れても、カンケーないよ」
歪に笑うあたしを悪魔を見るような目で見るみんな。
だけどね、本当のことだもん。
ちょっと傷ついただけでアホみたいに騒いで。
傷なんて、いくら増えても平気なんでしょ?
なんとも思わないんでしょ?
それが、男だよ。
「ゆっ…」
止める声を無視して、あたしは倉庫を飛び出した。
1人で歩く夜の街は、あたしの心とは裏腹に、ネオンがキラキラ輝いていた。
その輝きに惑わされていたせいか、あたしは忍び寄る黒い影に気づかなかった。

