「…そうやって、ずっと苦しんでたんだな」
そっとあたしの体を包み込む大きな体。
…あたしに優しさを植え付けないで。
あたしには、優しさをもらう資格なんてない。
それに、同じだけの優しさを誰かに返すことも出来ない。
「…霜華の姫を…流牙くんの彼女を傷つけたのは、あたしだよ」
あたしは、あの子の大切なものを奪った。
あたしの弱さが、あの子を傷つけた。
「大切な人を傷つけられて憎いでしょ…っ!?」
流牙くんの服を掴み、訴える。
今、目の前にいるこのあたしに、大切な人を傷つけられたんだよ?
あたしのこと、恨んでよ…。
その手で、あたしを傷つけてよ。
そうすれば、温もりも優しさも一瞬のものであり、砂のお城みたいに、簡単に無くなるって証明されるでしょ。
二度と、惑わされずにすむから…。
「…何してもいいから……お願い…っ。あたしの心を、あたしを、殺して……っ!」
何も口にしない、かつ、無表情の彼の心が読めず、一方的な言葉をぶつけながら、力の入らない腕を何度も彼の体に振り下ろす。
あたしには、感情なんて必要ない。
こんな壊れかけのあたしなんていらない。

