「おっさんとも簡単にヤレるって、噂で何度か耳にしたことがある。けど、さっきの見たら信じ難いって言うかさ…」
どうも納得のいかない様子。
あたしの噂なんて90パーセントが本当のこと。
だってそうなるようにしてきたんだもん。
噂通りのあたしになって、男が求めるあたしを演じてきた。
「…昔はさ、誰とでもヤれたんだよ。だけど、なんであんなこと出来たんだろ……」
膝を抱え込み、表情が悟られないように顔を埋め隠す。
ハジメテを奪われたら、あとは同じことの繰り返しのはずなのに。
それすらまともに出なくて。いつしか無くなったと思っていた感情も、本当は中途半端にしか壊れていなかった。
「あたしは…っ、今まで色んなものも犠牲にしてきた…っ。男に支配されるんじゃない…、あたしが支配してやるんだ…って、そう心に決めていた、はずなのに……」
男なんてみんな、あたしの言いなりでいい。
あたしが仮面を被り、イイコを演じれば簡単に群がって。
いつまでも、あたしの思い通りに動く操り人形(マリオネット)でいれば良かったのに…。
「…もう、疲れた」
ふっとこぼれる、乾いた笑い声。
完璧なあたしも
男に愛されるあたしも
どうでもいい。
都合のいいように利用していたんじゃない。
"利用されるように仕向けていた"
その方が、正しいのかもしれない。
だって、あたしには、
誰かを利用するだけの価値なんてないんだもの。

