「そうなんだ、大変だったね」
ゆっくりあたしに近寄り、頭を撫でる。
·····気持ち悪い。
汚い手で触んないで。
前までは平気だったのに、身体がこの男を拒絶する。
「こんな時間にフラフラしちゃって。今日もどーせ泊まるところないんでしょ?ほんと仕方ないなぁ」
頭から腰に移動する手。
その手はあたしの腰にしっかり添える。
「いこっか」
どこに·····。
なんて、聞かなくてもわかる。
この男にとってあたしは、親に捨てられ学校からも見放された可哀想な子。
行く場所がないあたしの事を、僕がいないと君は他に行くところがないんでしょ?とか絶対思ってる。
····マジでそんなことないのに。
「あの、浅沼さん····。あたし····」
「大丈夫、柚花ちゃんは何も心配することないよ。前みたいに僕に任せて。そうだ、今日はお小遣いいくら欲しい?柚花ちゃんのためならいくらでも出すよ」
にったり笑うこの男に鳥肌がたった。
...あぁ、あたし、やっぱりムリだ。
あんなこと、もう出来ない。
そう思うのに、この男から離れようとしないあたしがいる。
ううん、離れられないんだ。

