「ママはね、あたしと同じミルクティー色の髪をしてるの。優しくてとっても素敵なんだぁ。パパはね、イギリスと日本のハーフで、金髪にオリーブ色の瞳がとっても綺麗なの。今は仕事で海外に行ってるよ」
親のことを聞かれる度に口にしてきた、用意されたセリフ。
「うそだろ?」
一瞬にして笑顔を消し、フッと嘲笑うかのように鼻で笑う。
「悪いけど、柚姫ちゃんのことも親のことを調べたんだよね」
…は?
調べたって何?
誰の許可でそんなこと…。
「流牙くんの命令?」
自然と低くなる声に消える笑顔。
自分でも今あたしがどんな顔をしているのか容易に想像できる。
それは決して、男に愛される如月柚姫では無い。
「いや、俺の独断。悪いけど柚姫ちゃんって信用出来ないんだよね」
「信用出来ないからってそこまでする…!?」
あたしの過去なんて誰も知らなくていい。
『俺の言うことだけきいとけばいいんだよ』
『君に触れる度、ゾクゾクしていたよ』
あたしの中に残る記憶と感覚。
それはふとした瞬間に何度も何度も蘇る。
あたしはどんな嘘をついてでも過去を隠し通してきた。
二度と誰からも、支配されないために。

