「おかえり」
幹部室に戻るとそこには陽向くんの姿しか無かった。
「みんなは?」
教科書を開き、勉強の続きをしながら訊ねる。
「流牙はまだ戻ってきてないよ。唯は流牙のところ行って、瞬は電話鳴って出ていった。魅斗は休憩にコンビニ」
ふーん。
なんでもいいけど、陽向くんと2人っきりっていうのは気まずい…。
バレないように、気をつけていたのかもしれないけれど、あたしの事をずっと観察してるよね。
悪いけど、昔から人の視線には敏感なの。
「ねぇ、柚姫ちゃん」
静寂に包まれた幹部室に陽向くんの声が響いた。
「ん?」
1度手を止め、ニッコリ微笑んで彼の方を見る。
「柚姫ちゃんのご両親ってどんな人?」
…は?
なに?そのデリカシーのない質問。
親のことはあたしにとってはかなり地雷だ。
「ん〜?どうして?」
笑顔を崩さず、聞き返す。
「柚姫ちゃんのこと、もっと知りたいなって」
笑顔で返す彼は嘘つきだ。
悪いけど、あたしも仮面を被って嘘に嘘を重ねて過ごしてるの。
作り笑いとか嘘とか、そういうの簡単に見抜けるんだよね。
なんの目的があって、彼が今嘘をついているのかまでは分からないけど。

