「…やっぱ可愛い」
「ん?」
「あ、いや、そんな表情もするんだなって…」
え?
あたし今変な顔してた?
本当に気をつけないと…。
パチンと両手で頬を軽く叩き気合いを入れ直す。
「2人ともイチャつかないで!流牙にチクるよ」
「あ、悪い悪い〜。気分転換に別の教科しよっか」
魅斗くんは陽向くんに教えてもらっているけれど、なかなか進まないらしい。
「陽向、ここ教えて欲しい」
唯花は1人で勉強を進めているけれど、時々陽向くんに教えてもらっている。
顔も雰囲気もあたしの知っている唯花。だけど、あたしが知っている彼女とはまるで別人。
「なに?」
あたしの視線に気づいた唯花は首を傾げる。
昔は普通に話せていたのに、今となっては声をかけられるとドキッと心臓が脈打つ。
「ううん、なんでもない……ごめんね」
たわいもない会話。
だけど、あたしにとっては久しぶりに唯花と交わした会話。
ここに来て、始めてまともに話したと思う。

