「おかえり、いいもの買えたかい?」
「ただいま♡流牙くんがね、すっごく素敵な部屋着買ってくれたんです。着るの楽しみ〜 」
外れた仮面を戻すように、あたしはもう一人のあたしを演じる。
「良かったね、流牙に言えばなんでも買ってくれるから遠慮せずにいいな」
「はーい♡」
適当に返事したけど、この人ってやっぱり金持ちなんだ…。
*
「武智さんありがと〜」
倉庫に着くと、いつもより少し高めの声でお礼を言う。
「芝居すんのも大変だな」
低い声でまるで独り言のように呟く流牙くん。
だけどそれは紛れもなくあたしに向けられた言葉。
「今日はありがと」
敢えてその事については触れず、トーンを変えないまま彼にもお礼を言う。

