先月の初雪から更に冬の寒さは厳しくなって、最近では毎日のように雪が降る。
12月。
この田舎町も、とうとう12月を迎えた。今年もあと1ヶ月も経たないうちに終わってしまう。
シャンシャン、どこからか鈴の音が聞こえる。「Merry Christmas!」、有名な某曲が響く。太陽が沈むと、何処からともなく暖かなライトが点灯する。
そんな赤、緑、黄色――…クリスマスカラーに染まった恋人たちの聖なる街並みを見ながら、
「お姉さん! クリスマスパーティするぞ!」
「98円になります」
わたしは今日も、スーパーのレジ打ちです。
「クリスマスパーティ!!」
「100円お預かりします」
「お姉さあああああん!!?」
いや、これを日常と呼ぶには甚だ遺憾である。
どちらかと言えば、日常の中に宇宙人が降り立ったような非日常と呼びたい。
「ねぇ、俺の話聞いてる?」
「2円のお返しです」
「お願い話聞いて!!? 会話をしよう、俺と!」
宇宙人というか宇宙から来たヒト科の生物である。もはや人ではない。
宇宙「人」?そんなの宇宙人に失礼だ。謝れ、ヒト科。
「ありがとうございました。もう二度と来ないでください(殺気)」
「おいいい!そこは『またお越しください!ニコッ』だろ!!?『かっこ さっき かっことじ』って何だよ!口で言っちゃう!?言っちゃうの!!?」
「お出口はあちらになります。さっさと逝け。」
「店長!いい加減マニュアル変えよう! 特にいろはの俺に対するマニュアル!!」
突然話を振られた、少し遠くで品出しをしていた店長は、愛想笑いと丸分かりな微妙な笑顔を浮かべていた。
“浬さんのこと、よろしくね”――神頼みよろしく両手を合わせ、わたしに懇願する店長の言葉がどこからか聞こえた気がする。