だって、桜庭がウソをつくときは、どこかニヤニヤした顔を浮かべているから。
焦りの表情を見せることなんて、まずないんだ。
『……意外なとこあるんだね』
私が驚きを隠せずに言うと、桜庭は小首を傾げて『そうか?』なんて言った。
『そうだよ。普段は、野生のサルのように暴れまわってるくせに』
『……そんなこといったら、篠山もだろ?』
『え?』
桜庭の言葉に頭を捻らせていると、桜庭は私の耳元に唇を寄せて囁くように言った。
『……絵美ちゃん』
『……っ』
その少し高い声に、思わず後退りする私。
囁かれた右耳を手で覆いながら、私は声を荒らげて叫んだ。



