「これで何連勝目だ?」

「もう休憩なしで9人と相手してるぞ。」

「化け物かよ。」

ここは月に一度、ある〝催し〟が開かれるという剣技場。

町の外れというのもあって、中心都市に比べると生憎綺麗とは言えず、薄暗く少し陰気な空気が立ち込めている。


そのため、一般人が寄り付く事どころか、顔に傷のある男やゴロツキ、ガタイの良い男…言わば、ならず者の猛者達が集まる場所。

そんなゴリゴリの男達がこぞって、この剣技場に来るのには、ちゃんとした理由がある。


それは、この大会の優勝者が極稀に王宮の騎士団へとスカウトされるからだ。

一般兵ならまだしも、一気に騎士団員。
入れるのは限られた人しかおらず、まあ所謂裏口入学とでも言うべきか。

1つ言えるのは出世コース真っしぐらという事。


ならず者達にとっては、1番簡単で、かつ安全に権力と財力を手に入れられる場所だろう。



なぜこんな事が許されるのか?

それは至極簡単な事。


この国は身分はもちろん確立されているが、何よりも実力が1番重要視されている超軍事国家。

力が弱い者が虐げられ、力の強い者がのし上がる、そんな簡単なサイクルでこの国は成り立っている。

ここにいる彼らにとっては生きやすい環境だろう。