『今日はどうだった?』




帰宅して、寝室で幸治さんに聞かれる。




「前にもオペの見学やシュミレーターはやらせてもらっていたけど、今回は立場が違うので……緊張しました。」




『そうだろうな。自分が執刀するつもりで常に緊張感は保たないとな。




アイツには会ったか?』





「椎名先生ですか?」





『ああ。』




「はい、呼吸器内科で吸入もさせてもらいました。散々でしたけど……。」





『まぁ、そうだろうな。
無理しないで何かあったらアイツに言うんだぞ。』





「はい……。」




今日初めて会った限りでは……良い人でも悪い人でもないような。
ただ、今まで会ってきた先生とはまた違っていた。
うまくやれるといいんだけどな。





『ん?どした?』





顔を覗き込んできた幸治さん。





「あ、いや。あの……椎名先生ってどんな人でしょうか?」





『うーん。
どんな奴かな…。
仕事はできる奴だよな。』




仕事は……って。それ以外は一体どんな方なのか、もしかしたら幸治さんの大親友で、これ以上聞いたら失礼かとも思って……このくらいに。





『まぁ、少しの間のことだしな。お前が無理しないように。』





そう念押しされて幸治さんは布団に入った。




まぁ、どんな人かは自分で見て考えよう。医者としては悪い人では決してないだろうけど。
ただ、医者として悪い人でなく、仕事熱心だと、私は辛いのだけど。




トホホ……と思いながら、私もベッドに潜った。