それから検査は昼過ぎまで行われて…日本ではない機械もかなりあって…慣れない環境からなのか終わった頃には身体中が重かった。






『結果は今日中には出るけど、それまでここで待つ?』




昼を過ぎても付き合ってくれたジャクソン先生。





もうこれ以上ここにはいたくありません。





「帰ります。」




『そう。お昼は一緒に食べようよ。』





と言われて断れる訳でもなく。





「はい…」





と返事をしてしまった。





『じゃあさ、君でも食べられる物を持って、行ったことのない場所で…』






そう言われ、お昼ご飯は全てジャクソン先生に任せて、先生の後ろを歩いて行った。














『ここだよ。』





病院を出て大学の方に歩いて行き、途中大学の給食センターのような所の裏口で何やら紙袋を受け取り、そのまま大学生の中を白衣のジャクソン先生と私服の私とで歩き、人混みを離れて着いたところは。






誰もいない木々に囲まれた湖があった。





その隣のコテージに案内されて入ると、ジャクソン先生は少し冷えるからと言って部屋を暖めてくれた。






お湯を沸かしてくれるジャクソン先生は、白衣を着ていなければ、優しいお父さんのような…いや、若く見えるからか親戚のお兄さんのような。






『ん?どうしたかな?気分でも悪い?』






「いえ…」





色々と見てしまった。





『今日は疲れたでしょ?』





「はい…。でも平気です。日本でもそうなので。」





『慣れっ子だね。
こんな事になれてはいけないんだけど。』





「しょうがないんです…」







『……………。』







私の返事に何も答えないジャクソン先生は、途中で受け取った紙袋を開けて、中から包装紙に小分けしてあるパンや野菜を取り出した。





気になってそばまでいくと、




『これはね、かなみたいな子が食べられるように食べる前に注文すると、こちらの要望どおりに作ってくれるんだ。
低カロリーで新鮮。』





取り出したものは、サンドイッチ用のパンに焼いたハンバーグ、野菜、市販のものでなく手作りしたであろうソース。





「なぜこんな風に作ってくれるんですか?」






『アメリカはね大きな国だし、日本のように健康的な人よりも何かしら障害や持病を持った人が多いんだ。だからこういうことにも気を遣った食べ物はいろいろなところで作られてるんだ。






きっとかなのような患者さんでありながら医者をしている人は、日本では極わずかなんだろうけどね、うちの医局には結構いるんだよ。





ほら、早く食べよう。』






そう言って湖の見渡せる大きな窓の隣のテーブルにサンドイッチを置くと、それぞれロッキングチェアに腰掛けた。





素敵な風景にものすごい癒される。





ここ数日の忙しさなんか一気に吹っ飛んでしまうほど。






『食べながら聞いて。』





そう優しい声でジャクソン先生は語り始めた。






『ここはね………』