「わざとじゃないよ」



「わかってる。で、今度はどこまで覚えてる?」



「どこまでっていうより、思い出したの。過去のこと…」



「マジ?遊園地デートも?」



ぱあっと顔が明るくなるけど、その出来事は思いだせてない。



「もっと前のこと…。ここから引っ越した時のこととか…」



「思い出した?」



「うん。涼真くんが、私のことを大好きっぽかった」



冗談を含めてからかいがちに言うと、照れくさそうに笑った。



「そか…」



ここには、涼真くんと私しかいない。



環奈ちゃんは…と思っていると、涼真くんがため息をついた。



「もう…俺の前からいなくなるなよ」