「覚えてない、誰よ涼真くんって」


…あーやだ。


ほんと素直じゃない。


自分でもわかってるけど、なんだかいつの頃からかひねくれていた。


それもあるし、もうこれ以上この話題を引っ張りたくないってのもある。


「本当にそうなの?真凜って信じられない。お母さんは昨日のことのように覚えてるのに」


「ふーん、そうなんだ…」


しばらく黙っていると、今度は運転席のお父さんにターゲットが移ったから少しホッとした。


いつの間にかその公園も通り過ぎ、住宅街の中にある一軒の家の前で車が停まった。