月side
クッキーから言われ、部屋に戻ったものの...。
私は特にすることもなく、教えてもらった通りに左にあるドアを開けた。
そこは寝室だった。
見れば、クッキーくらいの大人が2人くらい寝れる大きさのベッドやクローゼットなどがきちんと整理されており、いかにもクッキーらしいと思った。
寝ていても構わないわ、クッキーさんはそう言ってたけど勝手に上がり込むのは失礼だろうし...。
私は寝室を出、ダイニングに戻ってソファの上に座った。
トントン拍子でここでお世話になることに決まってしまった...。
しかも、新しいあだ名まで付けてくれた。
全部が全部、私にとっては新しいことで...。
私はすごく嬉しかった。
初めてのことだらけな生活が不安もあるけど、なんだかとてもワクワクしていて...。
目を伏せて色々考えていると、ドアが音を立てて開いた。
ク「あら、ラムネ!寝ててよかったのよ!?」
ラ「え、えと...」
ク「どう使ったらいいか、分からなかったわよね!私が悪かったわ!ちょっと待っててね!」
ラ「だ、大丈夫、です。その、すみません」
慌ててそう言うと、クッキーは一瞬だけ驚いた顔をしたけどすぐに笑って、私の頭を撫でた。
ク「謝らなくていいのよ、ラムネ。私も寝ることにするから、もう少しだけ待っててくれるかしら?」
ラ「はい」
クッキーは満足そうに頷いて、お風呂場に向かった。
それからしばらくしてクッキーが入浴を終えて、部屋着姿で現れた。
ク「ラムネはどっちがいい?」
ラ「えっ」
ク「右か左」
ラ「選んでもいいんですか?」
ク「もちろんよ!寝やすい方を選んで。私はその隣で寝るから」
ラ「じ、じゃあ左で...」
クッキーはそのまま右側に寄って、寝そべった。
ク「ちょっと狭いかもしれないけど、ごめんなさいね」
ラ「だ、大丈夫です」
ク「今日は色々あって戸惑ったかしら?」
ラ「は、い」
ク「うふふ。それも楽しいでしょう?」
ラ「楽しい、ですか?」
私は隣で寝ているクッキーを見た。
クッキーはバッと私の方へと寝返り、ニコッと笑った。
ク「人に出会って、色々考えて、経験して...。その1つ1つが不安だったり、楽しかったりするものなのよ」
それは私が知らないことだった。
私は常に知っている人間の中で生活していたから、考えることも楽しむことも、喜ぶことも、悲しむことでさえもしたことがなかった。
仮に言うなら、痛みに溺れたことはあったけれど。
クッキーさんは私の知らないことを丁寧に教えてくれるとても優しい人だ。
もしかしたら、お母さんってクッキーさんみたいな人のことを言うのかな?
ク「どうしたの?」
ラ「あっ、え、えと...」
ク「無理して何かを言う必要は無いわ。あなたはあなたでいいのよ」
ラ「...お、お母さん」
ク「え?」
ラ「クッキー、さんがお母さんみたい、だなって」
クッキーは驚いた顔をする。
ラ「え、えっとその...誰かに、優しくされたこと、なんて無くて。だからその、暖かいなって...」
私、何を言ってるんだろう...。
ク「うふふ。嬉しいわ、そんな風に言われたの初めてだから。私もあなたに出会えて初めてのことばかりなのよ」
ラ「クッキーさん、も初めてなこと、あるんですか?」
ク「えぇ、もちろんよ。生きていれば必ず新しいことに出会えるものなの」
ラ「そう、なんですね」
ク「明日からあなたの知らない世界が広がる生活が始まるわ。何かあれば、私たちが力になる。だから今日は安心しておやすみ」
そう言ってクッキーは私の頬をそっと撫でた。
私の知らない世界が広がる生活...。
クッキーさんやガムさんたちと一緒に...?
心無しか胸がドキドキしている。
これは、何?
ドキドキして、なんだか暖かい。
隣で寝るクッキーはいつの間にか、もう目を伏せて眠っているようで、私はその寝顔を見つめながら同じように目を伏せた。
普通ならずっと目を閉じたままで時間を過ぎるのを待っていたこの夜の時間がとても心地よく、私の意識は薄くゆっくりと包み込むように離れていった。
もっと前から彼らと知り合いたかったな...。
クッキーから言われ、部屋に戻ったものの...。
私は特にすることもなく、教えてもらった通りに左にあるドアを開けた。
そこは寝室だった。
見れば、クッキーくらいの大人が2人くらい寝れる大きさのベッドやクローゼットなどがきちんと整理されており、いかにもクッキーらしいと思った。
寝ていても構わないわ、クッキーさんはそう言ってたけど勝手に上がり込むのは失礼だろうし...。
私は寝室を出、ダイニングに戻ってソファの上に座った。
トントン拍子でここでお世話になることに決まってしまった...。
しかも、新しいあだ名まで付けてくれた。
全部が全部、私にとっては新しいことで...。
私はすごく嬉しかった。
初めてのことだらけな生活が不安もあるけど、なんだかとてもワクワクしていて...。
目を伏せて色々考えていると、ドアが音を立てて開いた。
ク「あら、ラムネ!寝ててよかったのよ!?」
ラ「え、えと...」
ク「どう使ったらいいか、分からなかったわよね!私が悪かったわ!ちょっと待っててね!」
ラ「だ、大丈夫、です。その、すみません」
慌ててそう言うと、クッキーは一瞬だけ驚いた顔をしたけどすぐに笑って、私の頭を撫でた。
ク「謝らなくていいのよ、ラムネ。私も寝ることにするから、もう少しだけ待っててくれるかしら?」
ラ「はい」
クッキーは満足そうに頷いて、お風呂場に向かった。
それからしばらくしてクッキーが入浴を終えて、部屋着姿で現れた。
ク「ラムネはどっちがいい?」
ラ「えっ」
ク「右か左」
ラ「選んでもいいんですか?」
ク「もちろんよ!寝やすい方を選んで。私はその隣で寝るから」
ラ「じ、じゃあ左で...」
クッキーはそのまま右側に寄って、寝そべった。
ク「ちょっと狭いかもしれないけど、ごめんなさいね」
ラ「だ、大丈夫です」
ク「今日は色々あって戸惑ったかしら?」
ラ「は、い」
ク「うふふ。それも楽しいでしょう?」
ラ「楽しい、ですか?」
私は隣で寝ているクッキーを見た。
クッキーはバッと私の方へと寝返り、ニコッと笑った。
ク「人に出会って、色々考えて、経験して...。その1つ1つが不安だったり、楽しかったりするものなのよ」
それは私が知らないことだった。
私は常に知っている人間の中で生活していたから、考えることも楽しむことも、喜ぶことも、悲しむことでさえもしたことがなかった。
仮に言うなら、痛みに溺れたことはあったけれど。
クッキーさんは私の知らないことを丁寧に教えてくれるとても優しい人だ。
もしかしたら、お母さんってクッキーさんみたいな人のことを言うのかな?
ク「どうしたの?」
ラ「あっ、え、えと...」
ク「無理して何かを言う必要は無いわ。あなたはあなたでいいのよ」
ラ「...お、お母さん」
ク「え?」
ラ「クッキー、さんがお母さんみたい、だなって」
クッキーは驚いた顔をする。
ラ「え、えっとその...誰かに、優しくされたこと、なんて無くて。だからその、暖かいなって...」
私、何を言ってるんだろう...。
ク「うふふ。嬉しいわ、そんな風に言われたの初めてだから。私もあなたに出会えて初めてのことばかりなのよ」
ラ「クッキーさん、も初めてなこと、あるんですか?」
ク「えぇ、もちろんよ。生きていれば必ず新しいことに出会えるものなの」
ラ「そう、なんですね」
ク「明日からあなたの知らない世界が広がる生活が始まるわ。何かあれば、私たちが力になる。だから今日は安心しておやすみ」
そう言ってクッキーは私の頬をそっと撫でた。
私の知らない世界が広がる生活...。
クッキーさんやガムさんたちと一緒に...?
心無しか胸がドキドキしている。
これは、何?
ドキドキして、なんだか暖かい。
隣で寝るクッキーはいつの間にか、もう目を伏せて眠っているようで、私はその寝顔を見つめながら同じように目を伏せた。
普通ならずっと目を閉じたままで時間を過ぎるのを待っていたこの夜の時間がとても心地よく、私の意識は薄くゆっくりと包み込むように離れていった。
もっと前から彼らと知り合いたかったな...。

