伊音side
昔馴染みの男、ガムが拾ってきたという小さな少女は驚くほど痩せていて小さかった。
その上、遠慮がちというか人に対してあまり干渉しないような、そんな子だった。
見ているだけで哀れに思えてしまうその少女を私は放っておけなかった。
昔からの悪い癖だわ。
なんかガムもそうだけど、危なかっしくて放っておけないのよね。
お節介とも言い換えられるけど。
半ばそんな自分に呆れながら苦笑していた。
けど、月が自分そのものが迷惑なのではないかと恐れているのが分かり、もっと放っておけなくなった。
こんなにも寂しそうで哀れな少女がいるだろうか。
ガムが気まぐれで連れてきたとはいえ、もっと早く出会えていれば年頃に合う笑顔を振りまいていたのかもしれないのに...。
月「いても、いいんですか?」
ク「ええ、もちろんよ」
彼女は驚いた顔した。
その顔がとても愛おしくて私は自然に微笑んでいた。
初めて出会ったばかりなのに何故かわからないけど、月には笑っていて欲しい。
そんな風に思わせられる。
ク「まだ4階には結構部屋もあるけど、まだ1人暮らしは早いだろうし、しばらくは私と暮らしましょう」
見るからに月は小さな子供だ。
1人で自分の生活ができることすら分からない。
ましてや先程からの行動からして、彼女はまるで外に出たことも無いというような感じがしてならなかった。
月「は、はい。お、お世話になります」
ク「えぇ。じゃあ、少し聞いてもいいかしら?」
月「はい」
私は店を経営する副オーナーとしての仕事をした。
そうしなければ、この世界で彼女が生きていくことが限りなく困難になるから。
ク「あなたの本当の名前は?」
月「...」
ク「大丈夫。苗字を聞いたところであなたを追い返したりなんかしないわよ」
月「...い、一ノ瀬月(いちのせ げつ)です。」
ク「ありがとう。月、あなたは家出?それとも迷子?」
月「...」
ク「たとえ家出だったとしてもあなたが気が済むまでここにいればいいわ。迷子だとしてもね。けど、親御さんが心配するだろうから期限を付けないといけないけど...」
月「どれも違います」
途端に先程の月からは考えられないような重い声が発せられた。
思わず私は目を見開く。
ク「違うって...」
月「...わ、たしは」
それから月の話すことは信じられないような内容ばかりで気づけば私は彼女の代わりに涙を流していた。
私のその様子に月は驚いて戸惑っていた。
私はそっと月を抱き締め、頭をゆっくりと撫でた。
ク「月」
月は人に抱き締められることが初めてだったようで驚いていたけど、その後何かが吹っ切れるかのように泣いた。
本当に久しぶりに泣いたかのように泣き方を忘れた子供のようにただ顔をうつ伏せて静かに泣いていた。
不思議な状況からしばらくの時が経ち、少しだけぎこちなくなった私たちはその後、お互いを見て笑い合った。
と言っても私が主に笑っていたのだけれど。
ク「さて!聞きたいことは聞けたからそろそろお店に戻りましょうか。多分もう店じまいをしているはずだろうからきっと皆、いるはずよ。月に紹介しなくちゃね」
月「み、んな?」
ク「そう!うちの店の仲間たちよ」
そう言って私は月の手を取り、2階まで降りた。
カランカランと音が鳴り、開いたドアからムスッとしたある顔が飛び出す。
男「もう閉めたんスけど」
ク「あら、チョコ。私よ」
男「あぁ、クッキーか。面倒な客だと思っただろ」
ク「それはごめんなさいね」
私よりも少し身長の高い無愛想な男。
左耳にガムや私と同じ銀色のピアスを付け、その少し上には緋色のダイヤのピアスが付けてあり、髪は明るめな茶髪で成人した際に染めたそう。
男「そいつか、ガムが拾ったっていうガキは」
ク「そうよ。月、紹介するわね、こっちは内屋友昭(うちや ともあき)、あだ名はチョコよ」
月「よ、よろ、しくおね、がいします」
ク「そんなに固くならなくて大丈夫よ。口は悪いけど、根は優しいの。特にあなたみたいな子にはね」
チ「言ってろ」
照れたのかしら?
チョコは奥の部屋へと入った。
おそらく残りのメンバーを連れてきてくれるのだろう。
男「うわぁ!小さくて可愛い!」
ク「あら、今日は早いのね」
男「うん!だって珍しくガムから連絡来たかと思ったら新メンバーだって言うんだよ?そりゃあ気になっちゃうよ」
桃色の髪に右耳に銀色のピアスを付けている月よりも身長の低い男。
男とは思えないほどの高い声に童顔な彼は女に見間違えられることがしばしば。
初めて会った時は私も勘違いしていたしね。
ク「ガムから連絡が行くなんて珍しいわね」
男「でしょでしょー?多分、ボクとポテチはガムからの連絡でここに来てるよー!」
ク「夜に呼び出しちゃったから、ポテチには悪いことをしたわね」
男「気にしなくてもいいんじゃない?ポテチだし!やぁ、こんにちは、可愛い子ちゃん!」
月「え、えと...」
男「あ、今はこんばんは、だね!驚かせてごめんよ!ボクは鈴井琉羽斗(すずい るうと)!」
月「よ、よろしく、お願い、します」
男「んもー、そんな固くならないで!ちなみにボクのことはキャンディって呼んでね!」
月「は、い」
キャンディは誰でも気軽に話しかけるから、月とも馴染み安くて助かったわ。
月は極度に人馴れをしていないから、少し心配なのよね。
ガ「揃ったか」
昔馴染みの男、ガムが拾ってきたという小さな少女は驚くほど痩せていて小さかった。
その上、遠慮がちというか人に対してあまり干渉しないような、そんな子だった。
見ているだけで哀れに思えてしまうその少女を私は放っておけなかった。
昔からの悪い癖だわ。
なんかガムもそうだけど、危なかっしくて放っておけないのよね。
お節介とも言い換えられるけど。
半ばそんな自分に呆れながら苦笑していた。
けど、月が自分そのものが迷惑なのではないかと恐れているのが分かり、もっと放っておけなくなった。
こんなにも寂しそうで哀れな少女がいるだろうか。
ガムが気まぐれで連れてきたとはいえ、もっと早く出会えていれば年頃に合う笑顔を振りまいていたのかもしれないのに...。
月「いても、いいんですか?」
ク「ええ、もちろんよ」
彼女は驚いた顔した。
その顔がとても愛おしくて私は自然に微笑んでいた。
初めて出会ったばかりなのに何故かわからないけど、月には笑っていて欲しい。
そんな風に思わせられる。
ク「まだ4階には結構部屋もあるけど、まだ1人暮らしは早いだろうし、しばらくは私と暮らしましょう」
見るからに月は小さな子供だ。
1人で自分の生活ができることすら分からない。
ましてや先程からの行動からして、彼女はまるで外に出たことも無いというような感じがしてならなかった。
月「は、はい。お、お世話になります」
ク「えぇ。じゃあ、少し聞いてもいいかしら?」
月「はい」
私は店を経営する副オーナーとしての仕事をした。
そうしなければ、この世界で彼女が生きていくことが限りなく困難になるから。
ク「あなたの本当の名前は?」
月「...」
ク「大丈夫。苗字を聞いたところであなたを追い返したりなんかしないわよ」
月「...い、一ノ瀬月(いちのせ げつ)です。」
ク「ありがとう。月、あなたは家出?それとも迷子?」
月「...」
ク「たとえ家出だったとしてもあなたが気が済むまでここにいればいいわ。迷子だとしてもね。けど、親御さんが心配するだろうから期限を付けないといけないけど...」
月「どれも違います」
途端に先程の月からは考えられないような重い声が発せられた。
思わず私は目を見開く。
ク「違うって...」
月「...わ、たしは」
それから月の話すことは信じられないような内容ばかりで気づけば私は彼女の代わりに涙を流していた。
私のその様子に月は驚いて戸惑っていた。
私はそっと月を抱き締め、頭をゆっくりと撫でた。
ク「月」
月は人に抱き締められることが初めてだったようで驚いていたけど、その後何かが吹っ切れるかのように泣いた。
本当に久しぶりに泣いたかのように泣き方を忘れた子供のようにただ顔をうつ伏せて静かに泣いていた。
不思議な状況からしばらくの時が経ち、少しだけぎこちなくなった私たちはその後、お互いを見て笑い合った。
と言っても私が主に笑っていたのだけれど。
ク「さて!聞きたいことは聞けたからそろそろお店に戻りましょうか。多分もう店じまいをしているはずだろうからきっと皆、いるはずよ。月に紹介しなくちゃね」
月「み、んな?」
ク「そう!うちの店の仲間たちよ」
そう言って私は月の手を取り、2階まで降りた。
カランカランと音が鳴り、開いたドアからムスッとしたある顔が飛び出す。
男「もう閉めたんスけど」
ク「あら、チョコ。私よ」
男「あぁ、クッキーか。面倒な客だと思っただろ」
ク「それはごめんなさいね」
私よりも少し身長の高い無愛想な男。
左耳にガムや私と同じ銀色のピアスを付け、その少し上には緋色のダイヤのピアスが付けてあり、髪は明るめな茶髪で成人した際に染めたそう。
男「そいつか、ガムが拾ったっていうガキは」
ク「そうよ。月、紹介するわね、こっちは内屋友昭(うちや ともあき)、あだ名はチョコよ」
月「よ、よろ、しくおね、がいします」
ク「そんなに固くならなくて大丈夫よ。口は悪いけど、根は優しいの。特にあなたみたいな子にはね」
チ「言ってろ」
照れたのかしら?
チョコは奥の部屋へと入った。
おそらく残りのメンバーを連れてきてくれるのだろう。
男「うわぁ!小さくて可愛い!」
ク「あら、今日は早いのね」
男「うん!だって珍しくガムから連絡来たかと思ったら新メンバーだって言うんだよ?そりゃあ気になっちゃうよ」
桃色の髪に右耳に銀色のピアスを付けている月よりも身長の低い男。
男とは思えないほどの高い声に童顔な彼は女に見間違えられることがしばしば。
初めて会った時は私も勘違いしていたしね。
ク「ガムから連絡が行くなんて珍しいわね」
男「でしょでしょー?多分、ボクとポテチはガムからの連絡でここに来てるよー!」
ク「夜に呼び出しちゃったから、ポテチには悪いことをしたわね」
男「気にしなくてもいいんじゃない?ポテチだし!やぁ、こんにちは、可愛い子ちゃん!」
月「え、えと...」
男「あ、今はこんばんは、だね!驚かせてごめんよ!ボクは鈴井琉羽斗(すずい るうと)!」
月「よ、よろしく、お願い、します」
男「んもー、そんな固くならないで!ちなみにボクのことはキャンディって呼んでね!」
月「は、い」
キャンディは誰でも気軽に話しかけるから、月とも馴染み安くて助かったわ。
月は極度に人馴れをしていないから、少し心配なのよね。
ガ「揃ったか」

