Treat お菓子な君と

琉羽斗side

カランカラン

開店してすぐにドアに付けてある鈴が客が入ってきたことを知らせる。

ボクは満面の笑みを浮かべて頭を下げた。



キ「いらっしゃいませー!」

ク「いらっしゃいませ」

ポ「いらっしゃいませ」

ラ「い、いらっしゃい...ませ」



ボクに続いて3人がその客に挨拶をする。

客はもちろん、常連さんだ。

まだぎこちない挨拶で頭を下げるラムネにボクは緊張を解こうと声をかけた。



キ「ラッムネ!そんなに固くなっちゃダメだよー」

ラ「は、はい」

キ「お席はこちらへどうぞ!」



ボクはラムネにウインクをしてから、入ってきた常連さんをテーブルへとご案内した。



ク「お客さんが入ってきたら、ああやって空いてる席に座ってもらうの。その後にこのメニューを渡して、注文を聞くっていう形よ」

ラ「はい、わか、りました」

常「あら?新しい子かしら?」

キ「そーなんだ!可愛いでしょー?」

常「えぇ、とっても。こんにちは」

ラ「こ、こんにちは...」

ク「ラムネ、こちらはよく来てくれる常連さんの1人で吉野さん」

吉「ラムネって言うのね。可愛らしいお名前だわ。これからもよろしくね」

ラ「こ、こちらこそ、です」

吉「うふふ。若い頃のグミちゃんを思い出すわね」

キ「えー?そう?似てるようには見えないけどなー」

吉「違うわ。初めて働き出した時の緊張した顔がラムネちゃんにそっくりなものだったから」

ク「確かに言われてみればそうですね」

吉「今思えば、あなた達もこんな立派になったのね...」

キ「それってボクらが歳を取ったってことー?」

吉「違うわよ」



ボクが頬をふくらませて拗ねたようにすると、吉野さんは苦笑しながら首を横に振った。



クッキーと比べて少ししわの多い彼女は、ボク達がまだ学生だった頃からの知り合いだ。

温厚でとっても優しくて自分の子供でもなんでもないのにずっと昔からボクらを気にかけてくれる。

今ではすっかりこの店の常連さんだ。



ク「ご注文がお決まりでしたら、お伺いします」

キ「朝食セットBですね!かしこまりましたー!」

ラ「え、えと...アメリカンコーヒー(?)が注文です」

ポ「了解!」



さあて、慌ただしくなってきたなー!



クッキーがお客の少ない時にホールの指示を済ませておいたおかげでラムネの動きもだんだん慣れてきた。



相変わらず、そこら辺の配分はクッキーが断トツで上手いんだよなー。

少し羨ましいかも。



客「やあ、キャンディ!」

キ「あれれ?辻さん!久々だねー」

辻「ちょうどそこまで来たからさ」

キ「そっか、そっか!じゃあ注文してってねー!」

辻「まけてくれないのか...」

キ「ありゃりゃ、もしかして経営上手くいってないの?」