朝食を食べ終えた2人はグミ同様にキッチン前へと食器を持ってくれ、僕はそれを一気に洗った。
今頃クッキーがラムネに店の中を案内しているだろう。
ホールもそうだけど、ラムネにはキッチンも手伝って欲しいなぁ...。
たまにキャンディが手伝ってくれるけど、洗い場に溜まる食器を片付けるのは結構苦労するんだよね。
今度クッキーに言ってみようかな。
そう思いながら黙々と食器についた洗剤を落としていく。
あと残りはガムとチョコだけど、多分あの2人は昼過ぎじゃないと起きてこないから、冷蔵庫にラップして置こう。
手際よく僕は作っておいた2人の分の朝食をラップで包み冷蔵庫へと置いた。
それぞれ違う料理だから間違えることは無いだろう。
ク「ゆっくりでいいから覚えてね」
ラ「は、はい」
ポ「あ、お帰り」
キ「そろそろ開店だよー!」
ク「あら、もうそんな時間?」
ポ「じゃあ着替えてこよう」
僕は店の奥へと入り、店の制服に着替えた。
黒をモチーフにした質素でそれでも格好いい服。
もちろん、これもキャンディがデザインした服だ。
まるでどこかの執事だよなぁ。
まぁ僕が着たら、執事よりもお坊ちゃまだけど。
自分で思ったことに思わず苦笑しながら、キッチンへとまた向かい、注文を受ける下準備を始めた。
すると奥から制服に着替えたクッキーといつの間にか用意されてあった制服に身を包んだラムネがやってきた。
クッキーと同様に女性用の制服はラムネにピッタリで、ラムネ自身も興味深そうに自分の格好を見つめている。
ポ「似合ってるよ、ラムネ」
キ「可愛いねー!ラムネ!僕の制服にピッタリだ!」
ラ「そ、そうですか?」
ク「えぇ。とっても似合ってるわよ、ラムネ」
ラ「えと...あ、りがとうございます」
丁寧に頭を下げたラムネは照れているように見えた。
ポ「あ、そうだ。クッキー」
ク「何かしら?」
ポ「ホールもいいんだけど、ラムネに少しだけキッチンの仕事も頼んでもいいかな?」
キ「えーポテチ、そしたら、ラムネの負担増えちゃうよ」
ポ「そーなんだけど...」
ク「ポテチの仕事が1番大変だもの。手助けが欲しいのは仕方ないわ。まぁレストランの時のホールは私とキャンディもいることだし、なんとかなるとは思うけど...」
ラ「ど、どんな仕事ですか?」
ポ「忙しい時間帯の時で構わないんだけど、皿洗いをして欲しいなって」
キ「あーそっか!昼間とか皿洗いしてる暇無いもんねー」
ク「それならラムネも出来るわね。昼でこなしているのなら、夜の時も手伝えるだろうし」
ポ「いいかな?ラムネ」
ラ「は、い。分かりました。お皿を水、で、流すんです...よね?」
一瞬だけ、僕らの間に沈黙が流れた。
ラムネはキョトンとしながら僕らを代わる代わる見る。
まさか、皿洗い...も知らない?
同じ疑問が僕らの中で渦巻いた。
ラムネは驚く程にものを知らない。
もしかして、親に教えて貰ったことがない...?
ドクンッと胸が高鳴った。
短い過去の走馬灯が僕の脳裏に映る。
子供にとって親は絶対的な存在だ。
親が教えてくれなければ、子供は何も出来ないのだから。
僕はそれを誰よりも知ってる。
ポ「大丈夫だよ、僕が一から全部教えてあげるから」
ラ「あ、ありがとうございます」
キ「ポテチに任せたら1発だねー!」
ク「じゃあ、開店始めはラムネにはホールをしてもらおうかしら」
ラ「は、い」
キ「その前に!ラムネ、店の看板ひっくり返してきてー」
ラ「看板、ですか?」
ク「ドアの前にあるCLOSEって描かれた看板をひっくり返してOPENにして欲しいってことよ」
ラ「わ、わかりました」
ラムネは小走りで店から出て行った。
その後、僕らに流れる沈黙。
最初に破ったのはキャンディだった。
キ「クッキーさ、なんか隠してることあるだろ?」
いつものキャンディとは思えない低い声だった。
この時のキャンディは相手を牽制して、真実をそのまま語らせてしまう。
もちろん、このキャンディに常套手段が通じないことは僕らにとって暗黙の了解だ。
ク「なんのことかしら?」
クッキーは何事もなかったように返す。
僕は少し冷や汗を浮かべる。
キ「はぐらかすなよ」
ポ「ちょ、ちょっとキャンディ」
キ「別にボクはラムネのことを嫌ってるわけでもなんでもない。むしろ、気に入ってるよ。グミの時以来だしね、ガム自身が誰かを連れてきたのは」
ポ「キャンディ...」
ク「もちろんよ、それは私もわかっているわ」
キ「じゃあ、ラムネに関して何かを隠してることは事実なんだね?」
ク「...そうね」
ポ「クッキー...」
キ「詳しくは聞かないことにするよ。ラムネ自身のことだしね。牽制して悪かったよ、クッキー」
重苦しかった空気がスッと元に戻った。
僕はホッと息をつく。
キ「でも、いつかはちゃんと話してよ。クッキーからでもラムネからでもいいけど」
ク「えぇ。もちろんよ。ただ今はラムネも慣れてないことばかりで自分の素性を誰かにペラペラと話されたくはないと思うの。だからそのうちTreatに慣れてくれたら、自分からきっと話してくれると思うわ」
ポ「ラムネにそれだけの何かがあるってこと?」
ク「...えぇ」
キ「...そっか。わかった」
ク「助かるわ、キャンディ。ポテチも」
ポ「僕はラムネがいいなら別にいいんだ。ちょっと驚くことが多いけどね。そういうことならもちろん承認するよ」
ラムネにどんなことがあったのか、なんて聞かなくたっていい。
僕らは長い間ずっと一緒にいるけど、分からないことだらけだし。
小さくて健気なあの少女を僕は守りたい。
ラムネには笑っていて欲しいな。
明日は美味しい洋食を作ってあげよう。
今頃クッキーがラムネに店の中を案内しているだろう。
ホールもそうだけど、ラムネにはキッチンも手伝って欲しいなぁ...。
たまにキャンディが手伝ってくれるけど、洗い場に溜まる食器を片付けるのは結構苦労するんだよね。
今度クッキーに言ってみようかな。
そう思いながら黙々と食器についた洗剤を落としていく。
あと残りはガムとチョコだけど、多分あの2人は昼過ぎじゃないと起きてこないから、冷蔵庫にラップして置こう。
手際よく僕は作っておいた2人の分の朝食をラップで包み冷蔵庫へと置いた。
それぞれ違う料理だから間違えることは無いだろう。
ク「ゆっくりでいいから覚えてね」
ラ「は、はい」
ポ「あ、お帰り」
キ「そろそろ開店だよー!」
ク「あら、もうそんな時間?」
ポ「じゃあ着替えてこよう」
僕は店の奥へと入り、店の制服に着替えた。
黒をモチーフにした質素でそれでも格好いい服。
もちろん、これもキャンディがデザインした服だ。
まるでどこかの執事だよなぁ。
まぁ僕が着たら、執事よりもお坊ちゃまだけど。
自分で思ったことに思わず苦笑しながら、キッチンへとまた向かい、注文を受ける下準備を始めた。
すると奥から制服に着替えたクッキーといつの間にか用意されてあった制服に身を包んだラムネがやってきた。
クッキーと同様に女性用の制服はラムネにピッタリで、ラムネ自身も興味深そうに自分の格好を見つめている。
ポ「似合ってるよ、ラムネ」
キ「可愛いねー!ラムネ!僕の制服にピッタリだ!」
ラ「そ、そうですか?」
ク「えぇ。とっても似合ってるわよ、ラムネ」
ラ「えと...あ、りがとうございます」
丁寧に頭を下げたラムネは照れているように見えた。
ポ「あ、そうだ。クッキー」
ク「何かしら?」
ポ「ホールもいいんだけど、ラムネに少しだけキッチンの仕事も頼んでもいいかな?」
キ「えーポテチ、そしたら、ラムネの負担増えちゃうよ」
ポ「そーなんだけど...」
ク「ポテチの仕事が1番大変だもの。手助けが欲しいのは仕方ないわ。まぁレストランの時のホールは私とキャンディもいることだし、なんとかなるとは思うけど...」
ラ「ど、どんな仕事ですか?」
ポ「忙しい時間帯の時で構わないんだけど、皿洗いをして欲しいなって」
キ「あーそっか!昼間とか皿洗いしてる暇無いもんねー」
ク「それならラムネも出来るわね。昼でこなしているのなら、夜の時も手伝えるだろうし」
ポ「いいかな?ラムネ」
ラ「は、い。分かりました。お皿を水、で、流すんです...よね?」
一瞬だけ、僕らの間に沈黙が流れた。
ラムネはキョトンとしながら僕らを代わる代わる見る。
まさか、皿洗い...も知らない?
同じ疑問が僕らの中で渦巻いた。
ラムネは驚く程にものを知らない。
もしかして、親に教えて貰ったことがない...?
ドクンッと胸が高鳴った。
短い過去の走馬灯が僕の脳裏に映る。
子供にとって親は絶対的な存在だ。
親が教えてくれなければ、子供は何も出来ないのだから。
僕はそれを誰よりも知ってる。
ポ「大丈夫だよ、僕が一から全部教えてあげるから」
ラ「あ、ありがとうございます」
キ「ポテチに任せたら1発だねー!」
ク「じゃあ、開店始めはラムネにはホールをしてもらおうかしら」
ラ「は、い」
キ「その前に!ラムネ、店の看板ひっくり返してきてー」
ラ「看板、ですか?」
ク「ドアの前にあるCLOSEって描かれた看板をひっくり返してOPENにして欲しいってことよ」
ラ「わ、わかりました」
ラムネは小走りで店から出て行った。
その後、僕らに流れる沈黙。
最初に破ったのはキャンディだった。
キ「クッキーさ、なんか隠してることあるだろ?」
いつものキャンディとは思えない低い声だった。
この時のキャンディは相手を牽制して、真実をそのまま語らせてしまう。
もちろん、このキャンディに常套手段が通じないことは僕らにとって暗黙の了解だ。
ク「なんのことかしら?」
クッキーは何事もなかったように返す。
僕は少し冷や汗を浮かべる。
キ「はぐらかすなよ」
ポ「ちょ、ちょっとキャンディ」
キ「別にボクはラムネのことを嫌ってるわけでもなんでもない。むしろ、気に入ってるよ。グミの時以来だしね、ガム自身が誰かを連れてきたのは」
ポ「キャンディ...」
ク「もちろんよ、それは私もわかっているわ」
キ「じゃあ、ラムネに関して何かを隠してることは事実なんだね?」
ク「...そうね」
ポ「クッキー...」
キ「詳しくは聞かないことにするよ。ラムネ自身のことだしね。牽制して悪かったよ、クッキー」
重苦しかった空気がスッと元に戻った。
僕はホッと息をつく。
キ「でも、いつかはちゃんと話してよ。クッキーからでもラムネからでもいいけど」
ク「えぇ。もちろんよ。ただ今はラムネも慣れてないことばかりで自分の素性を誰かにペラペラと話されたくはないと思うの。だからそのうちTreatに慣れてくれたら、自分からきっと話してくれると思うわ」
ポ「ラムネにそれだけの何かがあるってこと?」
ク「...えぇ」
キ「...そっか。わかった」
ク「助かるわ、キャンディ。ポテチも」
ポ「僕はラムネがいいなら別にいいんだ。ちょっと驚くことが多いけどね。そういうことならもちろん承認するよ」
ラムネにどんなことがあったのか、なんて聞かなくたっていい。
僕らは長い間ずっと一緒にいるけど、分からないことだらけだし。
小さくて健気なあの少女を僕は守りたい。
ラムネには笑っていて欲しいな。
明日は美味しい洋食を作ってあげよう。

