私は岩井の悲しみ、寂しさ、愚痴を否定も肯定もしないで聞いた。そして、ただ彼を抱きしめてあげたかった。

私ならずっと好きでいると……。

けれど想いを口に出すことが出来なく、一年が経過。一年って、本当に早い。

でも、この一年で私は一番の友達といえる立場にいると思う。私は岩井を信用しているし、岩井も信用してくれているはず。

ふたりで食事をすることも多くなった。会社帰りに行くのがほとんどだが、外回りしてた時に私の好きそうな店を見つけたからと休日ランチをしたこともある。

友達以上の関係には進展していないが、今一番近くにいる存在だと胸を張って言える。

友達という位置は居心地の良い場所だけれども、物足りなく感じる。欲張ってはいけない、触れてはいけないところに触れたら……気持ちに気付かれてしまう。


休日、総務部の同期の桃華（ももか）に誘われて、デパートで開催されているバレンタインフェアに行った。国内外ブランドチョコがたくさん集められていて、試食も出来た。