これは、友チョコじゃない

レストランを出て「寒っ」と肩を震わせる私に、岩井が「俺の手、温かいから」と手を差し出した。

出された手をそっと握り、伝わる温かさに嬉しくなって隣に立つ彼を見上げた。彼は照れた顔で笑う。


「手を繋ぐための口実なんだけどね」

「そうだと思った」


繋ぐ手にどちらからともなく力を込める。

想いが通じあった日、今日をずっと忘れない。


ーendー