クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす

「確かにリマキュラの花は比較的毒性が強い。しかし、毒のある個所は花弁ではなく根の部分だ。生薬として用いることはできないが、滅毒加工することで強心作用や鎮痛剤にすることができる。が、安易に素人が扱えるものではないな」

これが模範解答だ。というようにジークがふっと笑う。今までずっと毒花だと思っていたリマキュラの花が、実は薬になるなんて知らなかった。目から鱗が落ちたような気分だ。

「ぷっ。なんだ、その間抜け面は」

ぽかんと口を開けたアンナの顔を見て、ジークが噴き出して笑った。笑われたというのに嫌な気はしなかった。むしろ、その笑顔に心臓が波打つ。

「娘が薬学を学びたがっている。とボブロから話は聞いていた。残念だが、お前はサルベール講堂には通えない。しかし……」

そう言ってジークがすくっと立ち上がると、その気配を感じ取ってリデルが目を覚ました。

「私がお前に薬学を教えよう。いい暇つぶしだ」

「ジーク様が……私に?」

暇つぶしと言っても、国王であるジークは日々多忙のはずだ。それなのにその忙しい合間を縫って、いち使用人のために薬学を教えてくれるなど、アンナはにわかに信じがたかった。