クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす

あまりの動揺に足が絡まり、アンナは見事にそのまま階段から転がり落ちてしまった。数段落ちただけだったが石畳に身体を打ちつけてしまい、苦悶に顔を歪めた。

「いったた……」

我ながら自分の鈍くささに呆れてしまう。四つん這いになり立ち上がろうとしたが、どうやら足首を痛めてしまったようで力が入らない。

(ああ、最悪!)

両手両ひざをついたままで、どうしようかと考えていると――。

「おい。そんな恰好でなにをしている?」

俯く視線の先に見えたのは磨かれた黒い革靴。いきなり頭から振ってきた声に驚いて見上げると、昨夜の碧眼の男が怪訝な顔でアンナを見下ろしていた。

「ジーク様……?」

この人こそがランドルシア王国の象徴であるジーク国王だということをウィルに教えてもらった。無礼のないようにしなければと思いつつも、こんな格好を見られてしまっては面目ない。