クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす

「あの、いったいなんのことでしょうか……?」

「まぁ、わからない振りしちゃって。レオン様にご奉仕するのよ、身体を使って」

娼婦に言われた意味をようやく理解すると、アンナは火がついたように顔を真っ赤にして俯いた。

「し、失礼しました!」

食事の載ったトレーをレオンに押し付けると、アンナは一目散でその場から離れようと廊下を全力で走った。その途中、何度ももつれて転びそうになる。

(な、なんなの!)

均衡の取れた瑞々しい男性の身体を目の当たりにしたのは初めてだった。風呂上がりにいつもボブロが裸でうろうろしてミネアに怒られていたが、そんなのとはわけが違う。十八歳ならば結婚していてもおかしくはない年ではあったが、アンナは色恋沙汰に関しては引けを取っていて、“男性”のことは完全無知で免疫もなかった。

もちろん誰かに恋をしたことだってない。それと同時になぜか昨夜、口移しと言われて実は国王だったジークに唇を塞がれたことを思い出し、アンナは階段を駆け下りながら混乱する頭を宥めようとした。

(落ち着いて! 落ち着くのよ、アンナ!)

と、そのときだった。

「わっ、きゃあ!」