「ああ。食事ね、もうそんな時間か」
配膳の使用人だと確認するとドアが大きく開かれた。すると、部屋からむせ返るような香の香りと湿気を含んだ妖艶な空気が漂ってきて、ぐるぐるとアンナを取り巻いた。
「見ない顔だね、新入りの侍女かな?」
目の前にジークと同じくらい背の高い、甘栗色の髪をした男が立っていた。
(この人が、レオン様?)
濃茶の瞳をやんわり細め、固まるアンナを見下ろしている。彼が国王の異母兄弟だと言われても、やはりジークとは似ていなかった。切れ長の目をしているジークとは違い、レオンはやや垂れ目で甘い顔立ちをしている。これで振り向かない女性はいないだろう。
「どうしたの?」
「あ、の……」
言葉が出ないのはその端整な容姿に見惚れていたわけではない。一枚布を腰に巻き付けただけで上半身は裸、まさに情事の真っ最中だったというような身なりに絶句してしまったのだ。
配膳の使用人だと確認するとドアが大きく開かれた。すると、部屋からむせ返るような香の香りと湿気を含んだ妖艶な空気が漂ってきて、ぐるぐるとアンナを取り巻いた。
「見ない顔だね、新入りの侍女かな?」
目の前にジークと同じくらい背の高い、甘栗色の髪をした男が立っていた。
(この人が、レオン様?)
濃茶の瞳をやんわり細め、固まるアンナを見下ろしている。彼が国王の異母兄弟だと言われても、やはりジークとは似ていなかった。切れ長の目をしているジークとは違い、レオンはやや垂れ目で甘い顔立ちをしている。これで振り向かない女性はいないだろう。
「どうしたの?」
「あ、の……」
言葉が出ないのはその端整な容姿に見惚れていたわけではない。一枚布を腰に巻き付けただけで上半身は裸、まさに情事の真っ最中だったというような身なりに絶句してしまったのだ。



