クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす

(ボブロおじさんは国王様に会ったことがあるのよね、もっと話を聞いとけばよかったわ)

もう自分の生活の場所は王都外れの森の中ではない。城の従事者として、国王のことをもっと知っておかなければ無礼になる。と思っていると、ふと、アンナは袖をまくったウィルの太い左腕に、怪我をしたのか縫合した痕があるのに気づいた。それは二十センチほどで、そのときはかなりの大怪我だったのではないかとじっと痕を見ていると、アンナの視線にウィルが気づく。

「ああ、これか、去年薪を割っていてドジっちまってな、ちょっと神経やられて……実はあんまりこっちの腕は使いもんにならねぇんだ」

そう言って苦笑いするとあまり見られたくなかったのか、ウィルはさっと袖を下ろした。