クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす

「お前の手料理を、今後も楽しみにしている」

「はい」

ジークの瞳はどこか嬉し気で、優しかった。包まれるような心地にアンナも自然と笑みを浮かべた。

細い腰に腕を回され、ふたりのダンスの続きが始まる。それを合図に音楽隊が再び楽器をそれぞれ奏で始めた。そして、ジークとアンナに注目していた人々もランドルシア王妃誕生に喜び合い、一層活気づいた。

「私はお前を愛で続けることをやめられないだろうな。アンナ、愛している」

薬指にはめられている指輪にジークがそっと口づける。

「最期のそのときが来るまでジーク様が傍にいてくれるのなら、私はなにも望みません……私も愛しています。永遠に」

何度“愛している”と告げられても、その言葉が枯れてしまうことはないだろう。
これから先、再び困難に襲われようとも互いに寄り添うことで打ち勝つ強さを知った。もう、なにも憂うことも恐れることもない。

アンナは最愛の人と同じ道を新たに歩む喜びに、この上ない幸せを噛み締めずにはいられなかった――。END