「あれは……もしかしてローラとリディア? どうしてここに?」
ミューラン卿の別邸を離れてからその後ふたりがどうなったか言葉には出さなかったが、頭の片隅で気になっていた。主人を失い、行き場をなくしているのでは……と思っていた。すると、リディアがアンナの姿に気がつき、無邪気に手を振った。
「ああ、あのふたりには今度から城の調理場で使用人として働いてもらうことになった」
「えっ、そうなんですか? じゃあ、私、彼女たちと一緒に仕事ができるんですね」
今度会ったら、美味しい料理を振舞うとローラに約束したのを思い出す。ローラもリディアも無事でいるのがわかり、ホッと胸を撫で下ろしているとジークがゆっくりと首を振った。
「いや、あの二人はお前の代わりだ」
「……代わり? どういうことですか?」
「お前はもう、調理場で働く必要はないということだ」
それを聞いてアンナの表情が凍りついた。
(まさか、私……調理場でのお仕事をクビになってしまったの?)
幸せな気持ちから崖に突き落とされたような気分になり、アンナは眉尻を下げた。
ミューラン卿の別邸を離れてからその後ふたりがどうなったか言葉には出さなかったが、頭の片隅で気になっていた。主人を失い、行き場をなくしているのでは……と思っていた。すると、リディアがアンナの姿に気がつき、無邪気に手を振った。
「ああ、あのふたりには今度から城の調理場で使用人として働いてもらうことになった」
「えっ、そうなんですか? じゃあ、私、彼女たちと一緒に仕事ができるんですね」
今度会ったら、美味しい料理を振舞うとローラに約束したのを思い出す。ローラもリディアも無事でいるのがわかり、ホッと胸を撫で下ろしているとジークがゆっくりと首を振った。
「いや、あの二人はお前の代わりだ」
「……代わり? どういうことですか?」
「お前はもう、調理場で働く必要はないということだ」
それを聞いてアンナの表情が凍りついた。
(まさか、私……調理場でのお仕事をクビになってしまったの?)
幸せな気持ちから崖に突き落とされたような気分になり、アンナは眉尻を下げた。



