俯くソフィアをレオンが軽く抱き寄せる。思いも寄らないレオンの行動にソフィアは驚いて身を離そうとした。

「僕は母上とは違う。君を裏切ったりなんかしない」

戸惑うソフィアをもう一度引き寄せ、今度は抱き込むようにすると、ソフィアはそれ以上の抵抗をやめた。

「信じるから裏切られるって母上に言われたから怖いんだろう? また、裏切られるんじゃないかって……でもそうじゃない」

「え?」

「裏切るよりも裏切られたほうがいい。心が綺麗でいられるからさ、だから、君は綺麗なんだ。それに、軍を離れるなんて騎士団長として許可できないな」

ソフィアは顔をあげ、見下ろすレオンを見つめた。

「君が好きなんだ。君の気を引こうとして馬鹿なことを何度もした。けど、結局こうやって気持ちを直接伝えなきゃ、なにも始まらないんだってわかったんだよ」

レオンの突然の告白に、ソフィアは息を呑んで顔を真っ赤にした。

「ふふ、君のそんな顔が見られるなんて意外だな。兄上に負けないような男になるよ、だから、ずっと僕を見ていて欲しいんだ……ね?」

「な、何言ってるのよ! と、年下のくせに……でも、どうしてもっていうなら仕方ないわね」

ソフィアは恥ずかしさで目を反らす。そんなソフィアの顔をレオンは両頬で包むと、ふたりの影が重なった――。