城へ着くと、一番にウィルとマーヤが駆け寄ってきて苦しくなるほど思い切り抱きしめられた。

「ああ、もうこの子は、心配したんだよ。本当に無事でよかった!」

マーヤは目に涙を浮かべてしつこいくらいにアンナの頭を撫でまわした。

「ウィルさん、マーヤさん、心配かけてごめんなさい。私は大丈夫です。今から調理場へ行かないと……」

これから夕食の準備を始める時間のはずだ。仕事を気にかけるアンナにウィルはブンブンと首を振った。

「仕事のことは気にするな、怖い思いをして身体も気持ちも疲れているだろうに……今夜はゆっくり休みなさい」

「でも……」

「いいんだよ、お前がいなくなったと聞いて居ても立っても居られなかったよ。こうして戻って来てくれただけでいいんだ」

まるで親のようなふたりに、熱いものがこみ上げてくる。

「ありがとうございます」

アンナは厚意に甘えてジークの部屋で少し休むことにした。