クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす

今朝、ジークは製薬室で倒れているソフィアを発見した。

ソフィアは初め、ベアトリクスに実家を潰すと脅されていたため、何が起こったのか言い渋ったが、意を決してロウがベアトリクスと繋がっていたこと、そしてアンナが連れ去られたことすべてをジークに吐露した。そしてベアトリクスに対し、愚かで浅はかな行いをしたと悔いていた彼女をジークはなにも咎めなかった。

ジークはアンナが部屋にいなかった時点でつい気が動転してしまったが、すぐに冷静になり策を練った。そのとき、ロウが諜報員よりアンナの居場所である情報を手に入れたと報告に来た。しかし、ジークはすべて自分の目を欺くための偽の情報であることを見抜いていた。

長年、側近として職務を全うしていたロウに裏切られ失望したが、素知らぬふりをしているロウに詰問すると『ベアトリクス様が国王を貶め、女王に即位した暁には、大臣の位から昇進させるという約束だった』と自分がベアトリクスの内通者であったことを白状したのだった。

「どうせ、屋敷の部屋にいるのは囮だろう? 貴様の考えそうなことだ。ここから逃げ出そうとしていたのもお見通しだ。私を侮るなよ?」

状況によっては争いを避けることは致しかねるとジークは剣を抜き、その切っ先をベアトリクスに向けた。