クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす

笑うとできるえくぼが可愛らしい。

(私がたくさん美味しいものを作って食べさせてあげられたらいいんだけど……)

食事を勧めるとリディアはカトラリーを手にし、堪えきれない我慢が堰を切ったようにスープにパンに白身魚に次々と平らげていった。美味しそうに食べるリディアを見て、アンナはほんのひとときの安らぎを覚えた。

「ところで、あなたいくつ?」

食事を終え、ナプキンで口元を拭うリディアに尋ねる。

「十歳です」

(こんな少女を働かせるなんて……ミューラン卿は一体なにを考えているかしら)

きっと学校にも通っていないだろう。もしかしたらミューラン卿がどこからか買い付けた奴隷かもしれない。そう思うとアンナはやりきれない思いがこみ上げて表情を曇らせた。

「あの、このことは……」

はしたなくも食事に手をつけてしまったと、リディアが申し訳なさそうに俯いてもじもじしている。

「言わないわ。大丈夫よ、食事が無駄にならなくてよかった。ありがとう」

そう言うと、リディアはニコッと笑ってワゴンに食器をさげた後、部屋を後にした。