クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす

湯浴みを終えたはいいが綺麗になった身体とは裏腹に気分はちっともさっぱりしない。

ベアトリクスの思い通りに行動するのがいささか癪で、アンナはささくれ立った面持ちのまま先ほどの部屋に戻ると、ベアトリクスが選んだという数着のドレスをまるで着せ替え人形のようにとっかえひっかえ着せられた。

(こんなドレス、私には似合わないわ……)

ようやく『これが気に入ったわ』とベアトリクスの目に留まった紫色のドレスに落ち着き、侍女たちも『ベアトリクス様から見立てて頂いた物ですよ』『よくお似合いです』など口々に褒めちぎった。しかし、そんなふうに言われてもアンナはまったく嬉しくなかった。

(ジーク様が私のために用意してくれたドレスのほうがよっぽど素敵だわ……)

アンナが着ているドレスは少し大人びた色合いで、レースやリボンがついている。もし、ジークが用意してくれた物ならばアンナは喜んで顔を綻ばせていただろうが、ベアトリクスが選んだと思うと美しいドレスも廃れて見えた。むき出しになったデコルテには真っ青なサファイアの首飾りが煌めいている。ジークの瞳の色を思わせるような宝石がアンナの胸をしめつけた。鏡に映る自分の姿を見てはぁとため息をつくと、ドレスの重さが身体にのしかかるようだった。

「あなたはどこの国の姫君よりも美しい……素敵だわ。あなたたち、ありがとう。もう下がっていいわよ」

侍女たちが部屋をあとにすると、ベアトリクスとふたりきりになった。