「アリシア……？」

「そんな怖い顔しないでちょうだい。可愛い顔が台無しよ？　アリシアっていうのはジークの母親よ。まぁ、髪飾りのことはどうでもいいわ。けど、死んだ人の物を身につけるなんて……気が知れないわね。ところでその髪飾りをどうしてあなたが？」

辛辣なベアトリクスの言い草にアンナはカッと怒りがこみあげた。

（なんてことを言うの、ジーク様のお母様を殺したのはあなたじゃない！）

そう言い返そうと口を開きかけてぐっと言葉を呑み込んだ。闇雲に反発したところでベアトリクスに何をされるかわからない、そして髪飾りのこともベアトリクスに答えたくなかった。ここはいったん冷静になろうとアンナは震える声を押さえて尋ねた。

「ここはどこなんですか？」

とにかくここがどこなのか知りたい。するとベアトリクスはすっと目を細めて笑みを浮かべた。