クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす

サルベール講堂に通う貴族は名家ばかりだ。決して自分には許されることのないサルベール講堂の中を、ちらりと垣間見ている姿を想像するとわくわくした。けれど、トルシアンで仕事ができなくなるのは寂しい。

(お城で仕事ができるなんて……名誉なことだもの。喜んで引き受けなきゃ)

アンナは前向きに考えることでじわりと湧いた不安をかき消した。

「ところで、国王様っていったいどんな人なの?」

王都から外れた森での生活が長く、客の話で耳にすることはあっても自国の象徴である国王になど会う機会など到底ない。噂では庶民的で人望が厚く前国王よりも支持されている温厚な人だと聞いていたが……。