「兄上、その……」

レオンが改まって口を開く。

「ソフィアのことを、責めないで欲しいんだ」

私生活ではいい加減な一面を持つレオンだったが、元々間違ったことや曲がったことが嫌いな性格の男だった。腹違いとはいえやはり兄弟、その正義感だけはジークと似ていた。しかし、レオンの発言はソフィアに対する私情が含まれているとジークは悟った。

「彼女を責める前にベアトリクスを探し出す。あの女を野放しにしたら、どんなに危険かお前が一番よく知っているだろう」

美しいと称賛されているその碧眼は、今はまるで狩りをする獣のようだった。そんな視線を向けられてレオンはごくりと喉を鳴らし、何も言えずに押し黙った――。