「はぁ……ん」

それを察してか、ジークが優しく重ねた唇に隙間を作って呼吸を促した。

「苦しいか?」

低い声で耳元に囁かれると、それですらビクンと敏感に反応してしまう。

「だ、大丈夫……です」

口ではなんとでもいえるが、荒れ狂う心臓の音だけは誤魔化せなかった。

「私がお前にこんなにも執着していることは誰にも言うなよ? ふたりだけの秘密だ」

「……は、い」

ジークと共有する甘い秘密にアンナはうっとりと目を細めると、もう一度唇を奪われる。

(ああ。私は、ジーク様に恋している。愛しているんだわ……)

ぼんやりとそんなことを考えながら、アンナはジークから与えられるぬくもりを再び追いかけた。許されない想いを秘めながら――。