「どうした? そんなに顔を赤くして」

すっとジークが手を握ったまま立ち上がり、熱でのぼせたような顔をしているアンナを怪訝に覗き込んだ。

「私、変なんです……こんなふうになったこと、今まで一度もなかったのに……」

身体の奥が熱い。瞳が濡れているのがわかる。アンナは苦しくて、すがるようにジークの腕を掴んだ。

「ジーク様のことを考えると胸が苦しいんです。考えないようにしても考えてしまうんです。それに、こんなふうに傍に寄っただけで熱があるみたいになって……私、どうかしてるんでしょうか?」

恥ずかしげもなくそんなことを告白され、ジークは瞬きもせず虚を突かれた表情になった。
今まで認めたくなかった自分の気持ちを、身体が認めざる得なくなっていたのだ。頭で否定しても身体が反応してしまう。

どうしてこんなふうになるのだろう。感じているのは困惑でしかないのに。

「お前は可愛らしいな。素直で、心に淀みがない……」

ジークの温かな手のひらに両頬が包み込まれると、恥ずかしくても目を逸らすこともできなくなってしまう。