「すべて、いつか話さなければならないときがくると思っていた。お前にずっと隠し通して生きていくなんて……私にはできない」
「ジーク様……」
彼の震える吐息が耳朶にかかる。アンナも自分の身体を密着させるように腕を回した。
「本当はバンクラール卿が亡くなってすぐにでもお前を城へ呼び寄せたかった。しかし、ベアトリクス一派の鎮静化がままならないうちは殺伐としていて危険だと判断したんだ。それに、当時の私も未熟でお前を守り抜く力もまだ足りなかった」
「だから私をローランド夫妻に?」
ローランド夫妻に預けられた本当の理由に、アンナは目を瞬かせ顔をあげた。
「ああ。バンクラール卿の知己の友でもあったし信頼のおける夫婦だったからな。トルシアンでの生活ぶりをすべて使いの者に報告させていた。マンドレイクの育て方に悩んでいるとか、鎮痛薬の薬草を間違えて調合し腹を壊したとか……」
「えっ!? そ、そんなことまで……なんだか恥ずかしいです」
見守っていてくれていたとはいえ、余計な情報まで知られていると思うと恥ずかしくてアンナは赤くなって俯いた。そんなアンナにジークは優しく微笑みかける。
「ジーク様……」
彼の震える吐息が耳朶にかかる。アンナも自分の身体を密着させるように腕を回した。
「本当はバンクラール卿が亡くなってすぐにでもお前を城へ呼び寄せたかった。しかし、ベアトリクス一派の鎮静化がままならないうちは殺伐としていて危険だと判断したんだ。それに、当時の私も未熟でお前を守り抜く力もまだ足りなかった」
「だから私をローランド夫妻に?」
ローランド夫妻に預けられた本当の理由に、アンナは目を瞬かせ顔をあげた。
「ああ。バンクラール卿の知己の友でもあったし信頼のおける夫婦だったからな。トルシアンでの生活ぶりをすべて使いの者に報告させていた。マンドレイクの育て方に悩んでいるとか、鎮痛薬の薬草を間違えて調合し腹を壊したとか……」
「えっ!? そ、そんなことまで……なんだか恥ずかしいです」
見守っていてくれていたとはいえ、余計な情報まで知られていると思うと恥ずかしくてアンナは赤くなって俯いた。そんなアンナにジークは優しく微笑みかける。



